任意後見について
判断力の有無と契約
任意後見契約は、その名の通り「契約」です。
当事者の意思によって行います。
高齢により、又は障害や病気により判断力がない、あるいは著しく低下している方は、契約内容を理解して、自ら判断することができないので、契約することができませんし、仮に契約書に署名しても、その契約は無効です。
もし任意後見契約を親族の方が検討する場合には、本人の判断力があるかどうか確認することが大切です。
不安がある場合は、かかりつけ医などの専門家に相談することをお勧めします。
当事務所では、任意後見契約の原案作成や、その為のご相談も承ります。
後見人のトラブル
任意後見人または、法定後見人でもトラブルが起きることがあります。
後見人が被後見人の財産を私的に使ってしまうことで、時々新聞などで報道されています。
後見人が親族の場合で起きることが多いため、最近は弁護士や行政書士のような専門家を後見人にするケースが多くなっているようです。
しかし、その専門家が後見人になっている場合でも、トラブルが全くない訳ではありません。
任意後見監督人が、文字通り後見人を監督して、トラブルが起きにくい仕組みにはなっていますが、やはり後見人を誰にするかの判断は慎重に行うべきでしょう。
任意後見はいつから始まるのか?
任意後見契約を締結しても、すぐに任意後見が開始されるわけではありません。
後見人は、被後見人の判断力などが低下してから支援を開始するものです。
任意後見人になる予定の者や親族などが、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立てます。
これで任意後見が開始されます。
申し立てをするタイミングは、被後見人の判断力や記憶力が支援が必要とされるほど衰えてきた時です。
なお、これは本人もすることができます。
任意後見契約の契約書について
任意後見契約の契約書は、公正証書でなければなりません。
ですので、当職がお手伝いさせていただくのは、契約書の原案作成になります。
実際に契約書を作成するのは、公証役場にいる公証人です。
公証人に支払う費用も発生します。
契約の際には、原則として公証役場まで行かなければなりませんが、行くことが出来ない場合は、公証人が出張してきてくれます。
但し、公証人への費用が増額になります。
任意後見人がお手伝いする内容
任意後見人は、本人の依頼によって、本人の判断力が衰えた時に、その生活の一部をお手伝いする人です。
任意後見人がお手伝いするのは、介護や看護そのものではありません。
それを実際に行うのは介護施設や病院ですが、それらとの手続を本人に代わって行い、本人に代わって支払いなどを行うことが任意後見人の仕事です。
理解したり、考えたり判断したりすることのサポートを通して、本人の生活を支えるのが、任意後見人の仕事なのです。
これは、法定後見人でも同じことが言えるでしょう。
任意後見の終了
本人が亡くなると任意後見は終了します。(もちろんその前に任意後見契約を解除することもできます)
死後の事務処理も任意後見人にしてもらいたい場合は、その旨を任意後見契約に記載しましょう。
ただ、死後の事務処理に関しては、任意後見人では、権限に限界があります。
できれば、遺言を書いて、そこで遺言執行人を指定しておいた方が良いでしょう。
もちろん、遺言書は公正証書による遺言をお勧めします。
任意後見人について
任意後見人は成人なら誰でもなることが出来ます。
また法人が後見人になることもできます。
未成年者や破産した人はなることが出来ません。
そして後見人はその委託された権限で、財産管理も行うことが出来ます。
信頼のおける人を後見人にする必要があります。
誰を後見人にするかの選択は慎重に行うべきでしょう。
任意後見について
年齢を重ね、判断力が十分ではなくなってしまった方の為に、成年後見制度があります。
後見には、法定の成年後見と任意の後見があります。
法定の成年後見は、文字通り後見人等の権限が法律で定められています。
また誰が後見人になるかについても、希望を伝えることが出来ますが、最終的に判断するのは裁判所です。
これに対し、当事務所でお手伝いさせていただく任意後見は、
①任意後見人の代理権限のメニューを自ら決めることが出来る
②誰が後見人になるかについても自分で選ぶことが出来る
③①と②について、判断力が十分にある間に、契約書を作成して、後見人になる予定の人と取り交わす。
というものです。